2008年4月2日水曜日

母「タカシ。カーちゃんが捕まったら助けるんだよ」

Nostalgia Travel
母は「公安」と言った。私は、鉄道公安を見たことがなかった。バスの中や、電車の中や「かつぎ屋さん」専用市場で母達「かつぎ屋さん」の会話に何度も聞く言葉だから「かつぎ屋さん」の天敵だと言うことは、子供ながらに分かっていた。

Great Mother
階段の下で隠れている母は「ハット・・・」と慌てて、頭の手ぬぐいを取った。当時「かつぎ屋さん」の出で立ちは戦時中の女性の服装そのものだった。

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違うのは、防災ズキンの代わりに手ぬぐいを「姉さんかぶり」にして、クビに汗ふき用の手ぬぐいを巻いていた。そして服装だが、上は「カスリの合わせ」に、下は「カスリのモンペ」だった。足もとは地下タビだ。

Great Mother
その姿は正しく、戦時下の女の戦闘服だ。男達が負けた戦争の尻ぬぐいをさせられている女が、今その男達に追い詰められている。

Notalgia Travel
母が手ぬぐいを、頭から取るのが少し遅かったようだ。二人の公安が現れて「オバサン」と声を掛けた。
一人はかなり若かった。年配の公安が大きな声で「オイ!オバサン隠れてもダメだよ」と言う。幼い私には年配の公安の年齢は、分からない。しかし父より、かなり若いのは分かった。

Great Mother警棒を手に持ち、拳銃を腰にさげている。鉄道公安を初めて見る私は一瞬「お巡りさんだ」と思う。我が家には普段、父がいないので私達が聞き分けがないと、母はよく「言うこと聞かないと、お巡りさんに連れて行って貰うよ」と言っていた。

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「でも、カーちゃんは、何も悪いことしていない。カーちゃんを助けなきゃ!」と思った瞬間、私は「カーちゃんを連れて行かないで。連れて行かないで・・・・。」と泣きながらワメイテていた。

Great Mother
私は、ただ必死だった。屈強な大人を相手に私ができることは、泣きワメク以外になった。近くを通る乗降客が一斉に私達を見る。

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年配の公安が「分かった。分かった。分かったから坊や。カーちゃんは何処へも連れて行かないから。もう泣くのはやめな。」

Great Mothre
私は、興奮状態だったが「連れて行かない」の言葉に敏感に反応した。泣きながら「ホントウとかな?」と確認するように、年配の公安の目をのぞき込んだ。その目がさっきよりも優くなっていた。

Great Mother
私は泣くのをやめたが「泣きシャックリ」が止まらない。

My site is the original Japanese vanishing landscape and the rich Japanese sentiment can stroll through the site

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