2008年5月18日日曜日

重労働の農作業と『もったいない』

Nostalgia Travel
母「今日、トシオさんも一緒に来ていると良かったね。もうシロカキでいそがしんでしょうね?」
姑「シロカキやら。田植えの段取りで、助っ人の手配もあるし大忙しだっぺ」

Great Mother
我が家は農家の集落のど真ん中に住んでいたが、全く農地を持っていなかった。従って稲作の実務について私は無知だが、カタワラで観ている範囲の知識では、次のような行程があるようだ。

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①田うない
昨年の稲刈りのあと秋、冬の間、放置してあった田は、雑草などが生えて土壌は硬くなっている。それを掘り起こし、田の土壌に充分空気が入り込ませて、土壌が水を含みやすくする。

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「うない」また「うなう」とは、土を掘り起こすことである。当時はトラクタのような農業機械がない時代だから40~50Kgもありそうな「大きなシャベル」を農耕用の牛や馬に引かせて、「田うない」をしていた。

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ちなみに、馬は牛の二倍近いスピードがあったようだ。ただ馬は情緒が牛より不安定で扱いは、難しいようでもあった。

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しかし、牛や馬を飼っているのは、大耕作地を持つ比較的に裕福な農家だった。普通の農家はこの作業をマンパワーで行っていた。

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②シロカキ
「田うない」の後「田んぼ」に充分水を引き込み、土壌に冠水させた後、大きな鋤(スキ)を、やはり牛などに引かせて、土壌の粒子を細かくしてドロ状にする。

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ドロ状する事で田植えの時の「苗」が土壌にササリ易くする。

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③苗作り
昨年収穫した「種モミ」を「上質な田」を選んで、その一角に蒔いて苗を作る。
今はビニールハウスに「苗床」をつくって、そこで苗をシッカリ育てるから、苗の「出来、不出来」はほとんど発生しない。

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しかし当時は、その年の天候次第で「出来、不出来」が左右された。

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④田植え
シロカキの済んだ田に苗を植え付ける。田植えは一定期間に一斉に行うが、今は「田植え機」と言う便利な農機があるから二町歩(19,800hm)程度の田植えは、一週間もあれば終えてしまう。

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しかし、当時は人海戦術であった。この作業は、水の中で一日中、腰を曲げてする重労働であった。しかも田植えは、一度始まれば休むことなく一気に済ます作業でもあったから、雨の日も、風の日もこの姿勢で作業をする。

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ミッちゃんの家のように大農家は、期間限定で大勢の「田植え職人」を毎年雇っていた。姑の言う助っ人とは、この「田植え職人」の事である。

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一つの「田んぼ」の一方のハジに、5~6人程度の「田植え職人」が、横一列に並んで苗を植え進んで行く。手持ちの苗がなくなると、その「田んぼ」の所々に配置してある苗のタバを取って、更に植え進んでゆく。

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「田んぼ」の一方の先に行き着いた「田植え職人」は、また横一列になって、今来た「田んぼ」のハジにむかって植え進んで行く。

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職人達は思い思いに、手ぬぐいなどを頬カブリして、衣服の尻をハショッテ、この作業をモクモクと繰り返すのが、当時の田植え風景だった。

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当時は、こんな田植え風景が一ヶ月以上続いた。そして、大農家は優れた「田植え職人」を田植えの一番よいタイミングに雇い入れる事が重要な仕事であった。

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当時、農家の田植え期は、多忙の極みであった。定かではないが「ネコの手も借りたい」の語源は田植えの忙しさから来たとも聞くほどだ。

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⑤草取り・・・・雑草を取り除く作業。

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⑥肥料をやる・・・・ここまでは梅雨が明けるまでの作業だ。

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⑦水抜き・・・・田から水を抜いて稲穂だけに栄養が集中するようにする。

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⑧稲刈り

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私が物心が付いた程度の幼い頃。「ご馳走様」とチャブ台に置いた私の茶碗の中を見て、母が「タカシご飯をキレイに食べなさい」と言って私の茶碗にサユを注いだ。

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母は「お米はね。お百姓さんが、なが~い間、大変な苦労をして一生懸命作ってくれたものなのよ。残したりしたらバチがあたるよ」と言いながら、私の茶碗をとって注いだサユと箸で茶碗にへばり付いた、ノリのような小さなご飯粒までを、茶碗の底に洗い寄せて行った。そう母の作業は茶碗の中をサユで洗っていた。

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そして、それを私に差し出して「『もったいない』からキレイに食べなさい」と言った。

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私「カーちゃん。これでいい?」。母「うん。いいよ」と優しくほほえんだ。私は母のほほえみが嬉しかったそして『もったいな』の言葉が私の心に刻まれた。

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これも定かでないが日本の『もったいない』の語源は多分、稲作の重労働から生まれた「お米」への畏敬が由来ではないか!

My site is the original Japanese vanishing landscape and the rich Japanese sentiment can stroll through the site

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